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【先取り貯金の自動化】給料日に5分の設定で完成。目的別口座で”勝手に貯まる”家計の土台

前回、スマホの乗り換えで月6,000円を浮かせました。年間にすれば7万円以上です。

ただ、ここで手を止めると、そのお金はたぶん消えます。悪いことをしたわけでもなく、贅沢をした覚えもないのに、月末には残っていない。財布に余裕があると、人は少しずつ使ってしまうからです。

今日やるのは、その6,000円に行き先を作る作業です。しかも、毎月がんばって振り込む必要はありません。給料日に一度だけ5分の設定をすれば、あとは自動で貯まっていきます。

目次

20代の僕が、一番もったいなかったと思っていること

実は僕自身、20代のころはこの考えを持っていませんでした。給料が入ったら使って、残ったら貯金。当然ほとんど残らず、口座の残高は何年経ってもたいして変わりませんでした。あのとき、月に1万円でも先に取り分ける設定をしていれば、と思ったことは一度や二度ではありません。

仮に月2万円を20代の10年間続けていたら、それだけで240万円です。投資も何もしない、ただの足し算でこの金額になります。

ただ、この話にはもうひとつ側面があります。当時の僕が後悔しているのは「始めなかったこと」であって、「遅く始めたこと」ではありません。5年後の自分から見れば、今日が一番早いタイミングです。

先取り貯金とは何か

やることは単純です。給料が入ったら、決めた金額を先に別の口座へ移してしまう。そして残ったお金で生活する。それだけです。

順番を入れ替えるだけ、と言ってもいいかもしれません。

これまで:収入 − 支出 = 貯金 これから:収入 − 貯金 = 支出

同じ式に見えますが、結果はまるで違います。前者は「余ったら貯める」なので、余らなければゼロです。後者は先に確保しているので、必ず貯まります。

そして重要なのは、これを手作業でやらないことです。毎月自分で振り込もうとすると、「今月は出費が多かったから来月まとめて」が始まります。銀行の自動化機能を使って、考える余地をなくしてしまうのが、この方法の肝です。

【余談:貯金と預金の違い】

金融の世界では、実は「貯金」と「預金」は使い分けられています。銀行に預けるお金は「預金」、ゆうちょ銀行や農協(JA)に預けるお金は「貯金」——というのが正確な区別です。 ただ、日常会話では「お金を貯めること」全般をまとめて「貯金」と呼びますよね。この記事でも、広く使われている「先取り貯金」という言葉で統一しています。細かい話ですが、元金融機関勤務の身としては、つい触れたくなってしまいました。

先取り貯金のメリット

意志の力がいらない 一度設定すれば、あとは勝手に実行されます。毎月の決断が不要になるので、忙しい月も気持ちが沈んでいる月も、同じように貯まります。

使っていい金額が最初から決まる 先取りしたあとの残高が、今月使えるお金のすべてです。この状態になると、細かい家計簿をつける必要がほとんどなくなります。残高を見れば、使いすぎているかどうかが一目で分かるからです。

貯蓄率が確定する 手取り35万円で月3万円を先取りすれば、それだけで貯蓄率は約8.5%です。記事3の診断でタイプAだった方が、この設定ひとつでBの入り口に立てます。

前回の6,000円が消えなくなる 固定費の削減は、受け皿を作って初めて成果になります。6,000円を先取りに回すだけで、年間7万円以上が確実に残ります。

先取り貯金の落とし穴

ここは正直にお伝えします。やり方を間違えると、逆効果になります。

金額を高くしすぎると失敗する 一番多い失敗がこれです。張り切って月5万円に設定したものの、生活費が足りなくなって貯蓄用の口座から戻す。これを2回やると、仕組みそのものが信用できなくなって、設定を解除してしまいます。最初は「少なすぎるかな」と思うくらいでちょうどいいです。

赤字のまま先取りすると、借金が増える 毎月の収支がマイナスの状態で無理に貯金すると、足りない分をクレジットカードやリボ払い——毎月の支払額を一定にする代わりに手数料がかかる支払い方——で埋めることになります。これは貯金ではなく、手数料を払って自分のお金を移動させているだけです。タイプAの方は、金額よりも「仕組みを動かすこと」を優先してください。

すぐ引き出せない場所に入れすぎない 定期預金や保険で強制力を高めようとすると、いざというときに動かせません。生活防衛資金——急な出費や収入減にそなえる、生活費の3〜6か月分のお金——ができるまでは、普通預金で十分です。

土台ができる前に投資へ回さない 投資には元本割れ——投資したお金が、預けたときより減ってしまうこと——のリスクがあります。生活防衛資金がない状態で相場が下がると、生活費のために底値で売ることになります。順番を守るだけで、この事故は避けられます。

新NISAについて(タイプCの方向け)

タイプ別の話に入る前に、一つだけ用語の説明をしておきます。

新NISAは、投資で出た利益に税金がかからない、国の制度を使った投資の枠のことです。通常は利益に約20%の税金がかかるので、この差はかなり大きくなります。ただし投資である以上、増えることも減ることもあります。

タイプA・Bの方は、この段階ではまだ考えなくて大丈夫です。土台のない場所に柱を立てても、家は安定しません。

タイプ別・最初の金額の目安

記事3の診断結果に沿って、始める金額を決めます。

タイプ最初はいくら目指すゴール
A(貯蓄率 赤字〜5%未満/貯金1か月分未満)月1,000円からまず自動化を動かす。並行して赤字を止める
B(貯蓄率 5%以上15%未満/貯金〜3か月分)前回浮いた6,000円を全額生活防衛資金3〜6か月分
C(貯蓄率 15%以上/貯金3〜6か月分以上)現状維持+余力分先取りの一部を新NISAへ

タイプAの1,000円について 少なすぎると感じるかもしれませんが、これでいいんです。目的は金額ではなく、「先取りしても生活が回る」という感覚を手に入れることです。ここで無理をすると、ほぼ確実に元に戻ります。金額を増やすのは、固定費を削ったあとで構いません。

タイプBの目標額 毎月の出費が25万円の家庭なら、3〜6か月分は75〜150万円です。遠く感じるかもしれませんが、まずは1か月分、次に3か月分と区切っていけば進みます。

タイプCの注意点 生活防衛資金には手をつけないでください。投資に回すのは、あくまでその上に積み上がる分だけです。

先取り額の目安が分からない場合は、手取りの10%を出発点にしてください。手取り35万円なら3.5万円です。ただし赤字の場合は、金額より仕組みを優先します。

増額のタイミングは2つあります。昇給したときと、固定費を削れたとき。どちらも生活水準を上げずに済むので、痛みなく増やせます。

児童手当は、そのまま先取りに使える

お子さんがいる家庭には、もう一つ強力な原資があります。児童手当です。

現在の支給額は、3歳未満が月15,000円、3歳から高校生年代までが月10,000円。第3子以降は年齢にかかわらず月30,000円です。2024年10月分からの改正で所得制限がなくなり、高校生年代まで対象が広がりました。支給は偶数月(2・4・6・8・10・12月)の年6回で、それぞれ2か月分がまとめて振り込まれます。

このお金は、生活費の口座に入ると溶けます。振込先を貯める用の口座に指定するか、入金後すぐ移す設定にしておくのがおすすめです。3歳未満なら、それだけで年18万円が自動的に貯まります。

なお、支給額や制度は変わることがあるので、詳細はお住まいの自治体かこども家庭庁のサイトでご確認ください。

特別費を忘れずに

記事3の手順⑤で、車検や旅行、家電の買い替えといった特別費を月割りで計算しました。あれを先取りの対象に含めておくと、あとがずいぶん楽になります。

ここを飛ばすと、車検の時期に生活防衛資金を取り崩すことになります。防衛資金は「予測できない出来事」のためのお金なので、予測できる出費で減らすのはもったいない。可能なら、生活防衛資金とは別に、特別費用の箱を分けておくのが理想です。

年間36万円の特別費なら、月3万円。これも自動化に含めてしまいましょう。

お金の置き場所

1. 生活防衛資金 給与が入る口座とは別の場所に分けておくのがおすすめです。残高は見えるけれど、日常的には使わない場所。別の銀行に分けても構いませんが、後で紹介する「目的別口座」を使えば、同じ銀行の中で日常使いの口座と切り離せるので、それで十分です。大事なのは、日常の財布と混ざらないようにすることです。

2. 新NISAの口座 タイプCの方、または生活防衛資金が貯まったあとの積み立て先です。証券会社の口座から自動で積み立てる設定にすれば、こちらも手作業は不要になります。

なお、勤務先に財形貯蓄や社内貯金——給与から天引きして貯める、勤務先の制度——がある場合は、そもそも口座に入る前に取り分けられます。仕組みとしてはこれが一番強力です。ただ、この制度がない会社も多く、僕の勤務先にもありません。その場合は、次に紹介する銀行の自動化機能で十分代用できます。

設定手順(約5分)

① 目的別口座を作る ドコモSMTBネット銀行には「目的別口座」という機能があります。ひとつの口座の中に、用途ごとの箱を最大10個まで作れる仕組みです。新しく別の銀行を開設しなくても、「生活防衛資金」「特別費」のように分けて管理できます。アプリから数十秒で作れます。

② 給与が別の銀行に入る人は、まず「定額自動入金」で引っ張ってくる 給料の受け取りが他行の場合、定額自動入金サービスを使えば、毎月決まった額を自動でドコモSMTBネット銀行に移せます。手数料は無料です。引落日は毎月5日か27日から選べるので、給料日のあとに来るほうを選びましょう。 (すでに給与がドコモSMTBネット銀行に入る人は、この手順は不要です)

③ 「定額自動振替」で、目的別口座へ自動で振り分ける 代表口座に入ったお金を、目的別口座へ自動で移す設定です。これも無料。毎月・毎週・毎日からタイミングを選べるので、給料が入った直後に「生活防衛資金の箱へ○円」「特別費の箱へ○円」と自動で仕分けられます。目標金額を設定すると、達成率も表示されます。

④ 金額を決める 前回浮いた6,000円が出発点。タイプAの方は1,000円から。特別費(車検・旅行など)がある人は、その分も別の箱に振り分けておくと、あとがラクです。

⑤ 翌月に一度だけ確認する きちんと振り分けられているかを見ます。確認できたら、あとは放っておいて大丈夫です。

僕自身もドコモSMTBネット銀行の目的別口座を使っていて、「生活防衛資金」と「特別費」の箱に、毎月自動で振り分けています。口座内での振替なので手数料はかからず、箱ごとに残高が見えるので、何のためのお金がいくら貯まっているのかが一目で分かります。

よくある疑問

Q. ボーナスはどうすればいい? 自動化は毎月の給料に対して設定しておいて、ボーナスは入ったときに手動で移すのがシンプルです。金額が大きいぶん、割合を決めておくと迷いません。

Q. 夫婦で口座が別なんですが それぞれが自分の口座で設定して構いません。ただし、いくら先取りしているかはお互いに共有しておいてください。片方だけが頑張っている状態は、長続きしません。

Q. 生活費が足りなくなったら? 一度だけなら、生活防衛資金から引き出して構いません。そのためのお金です。ただし2か月続いたら、それは設定金額が高すぎるサインなので、迷わず下げてください。下げるのは失敗ではありません。

Q. 投資に回した分は貯金に入る? 入ります。記事3の貯蓄率の計算でも、投資額は含める前提でした。ただし「すぐ使えるお金」としては数えないので、生活防衛資金の計算からは外してください。

Q. ちゃんと貯まっているか確認するのが面倒です マネーフォワードMEなどの家計簿アプリに口座を連携しておけば、残高が自動で見えます。記事3で設定した方は、貯める用の口座も追加しておくと、増えていく様子が確認できます。

Q. iDeCoはどうですか? 節税の効果は大きい制度ですが、原則60歳まで引き出せません。土台ができてからの選択肢と考えてください。

まとめ・今日やること

  1. 目的別口座を作る(「生活防衛資金」の箱をひとつ)
  2. 先取りする金額を決める(前回浮いた6,000円が目安。タイプAは1,000円から)
  3. 定額自動振替で、その箱へ自動で振り分ける設定をする

全部を今日やろうとしなくて大丈夫です。まずは①の箱を作るだけでも、今日は十分な一歩です。

これで、記事3から始めた「土台をつくる」段階はひと区切りです。自分の家の形が分かって、シロアリを退治して、貯まる仕組みができました。

ところで僕は、この「強制的に貯まる仕組み」を、20代のころ別の形で持っていました。保険です。

ただ当時の僕は、それを運用だとは思っていませんでした。貯金が苦手な自分でも、これなら勝手に貯まっていくだろう、くらいの気持ちで入っていたんです。実際には、それはれっきとした運用商品でした。そのことに気づいたのは、ずいぶんあとになってからです。

その話は次回、生命保険の記事でお伝えします。

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