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【家計簿なしでOK】あなたの家計は今どのタイプ?5分でできる「間取り図」診断

会社は、毎月いくら入っていくら出たかを必ず数字で把握しています。それなのに、家計だけは何となくで回している——実は僕もそうでした。扱う金額で言えば、家計だって立派な事業です。

前回までの記事までの記事で、資産形成は「家づくり」に似ているという話をしてきました。今日はその第一歩、自分の家の「間取り図」を手に入れる作業です。

最初にお伝えしておきたいことがあります。1円単位の家計簿は必要ありません。 レシートを集めて、費目に分けて、毎晩入力する。あれで挫折した経験がある方も多いと思います。僕自身もそうでした。今日やるのは、そういう細かい記録ではなく、家の柱がどこにあって、どれくらいの太さなのかを、ざっくり把握することです。

目次

なぜ「今の状態」を知ることから始めるのか

僕には、200万円を投資で失った経験があります。

当時のことを正直に振り返ると、どんぶり勘定ですらありませんでした。毎月の給料がいくら入って、いくら出ていっているのか。いざというときに使えるお金が手元にいくらあるのか。何も把握しないまま、「まあ、赤字にならなければいいか」くらいの気持ちで暮らしていました。そのうえで、増やすことだけを考えて投資に手を出したんです。

今になって思うのは、失った200万円そのものより、あの時点で自分の家計の全体像を何も知らなかったことのほうが問題だった、ということです。土地の広さも地盤の強さも分からないまま、いきなり2階を建てようとしたようなものでした。

もし今、同じような状態だとしても、まったく問題ありません。今日はそこから抜け出すための作業です。

家を建てるとき、いきなり柱を立てる人はいません。まず土地を測って、地盤を調べます。家計も同じです。

そしてこの診断は、他人と比べるためのものではありません。世間の平均がいくらか、同じ年収の人がどれくらい貯めているか、そういう話は一切出てきません。見るのは、あなたの家の中の数字だけです。

用意するもの

  • スマホ
  • 直近の給与明細(アプリで見られる会社が多いと思います)
  • 銀行のアプリ、または通帳

これだけです。手順は全部で5つありますが、①〜③は合わせて5分で終わります。 ④と⑤は少し時間がかかるので、週末など落ち着いたタイミングで大丈夫です。

今日やること、3つだけ

先に結論をお伝えしておきます。今日やることはこの3つです。

  1. 手取り額を確認する
  2. 今ある貯金額を確認する
  3. 固定費をチェックリストに書き出す

これだけで、あなたの家の間取り図はだいたい描けます。では、順番に見ていきましょう。

手順① 手取り額を確認する(1分)

給与明細を開いて、差引支給額という欄を探してください。税金や社会保険料が引かれたあとの、実際に口座へ入ってくる金額です。総支給額(額面)ではなく、こちらを使います。

見るのは直近1〜2か月分で十分です。ただし残業代の変動が大きい方や、歩合給のある方は、3〜6か月分の平均を出してください。

この記事では、例として手取り35万円の家庭を使って進めます。

手順② 今ある貯金額を確認する(2分)

次に、今すぐ引き出せるお金がいくらあるかを確認します。これが「生活防衛資金」——急な出費や収入減にそなえるお金——の元になります。

数えるもの:普通預金、定期預金、財形貯蓄

数えないもの:学資保険、iDeCo、新NISAなどの投資、子ども名義の口座

なぜ分けるのかというと、ここで知りたいのは「明日会社に行けなくなったとき、すぐ使えるお金がいくらあるか」だからです。60歳まで引き出せないお金や、解約すると元本割れするお金は、いざというときの守りにはなりません。子ども名義の口座も、生活費に使うことは基本的にないはずなので外します。

なお、投資に回した分は、このあと出てくる貯蓄率の計算では含めます。ここで除外するのは「すぐ使えるか」を見たいときだけ、と覚えておいてください。

生活防衛資金の目安は、毎月の出費の3〜6か月分です。毎月の出費(固定費+変動費)が25万円の家庭なら、75〜150万円が目安になります。

手順③ 固定費を書き出す(2分)

固定費とは、毎月ほぼ同じ金額が自動的に出ていくお金のことです。金額は「だいたい」で構いません。1,000円単位で十分です。

  • 住居費(家賃、または住宅ローン返済額)
  • 管理費・修繕積立金(分譲の方)
  • 固定資産税(年額 ÷ 12)
  • 水道光熱費(直近数か月の平均額を入れてください)
  • 通信費(スマホ、自宅のネット回線)
  • 保険料(生命保険、医療保険、学資保険など。年払いの場合は年額 ÷ 12)
  • 車関連(自動車保険、駐車場代、車検代 ÷ 12、自動車税 ÷ 12)
  • 教育費(保育料、習い事、塾)
  • サブスク(動画、音楽、アプリの月額課金など)
  • NHK受信料
  • そのほか、毎月引き落とされているもの

ここまでで5分です。お疲れさまでした。この先の④と⑤は、時間のあるときで構いません。

手順④ 変動費はアプリに任せる(週末に)

食費、日用品、外食、レジャーなど、月によって金額が変わる出費が変動費です。これを手で記録するのは大変なので、家計簿アプリに任せます。

僕が使っているのはマネーフォワードMEです。銀行口座やクレジットカードを登録しておくと、明細を自動で取り込んで、費目ごとに分類してくれます。

正直に言うと、この連携設定だけは少し時間がかかります。 口座やカードの数によりますが、20〜30分は見ておいてください。ただ、一度やってしまえば、あとは勝手に集計され続けます。

無料プランで登録できる金融機関は4件までです。いきなり全部つなごうとすると挫折するので、まずは給与が入る銀行と、一番よく使うクレジットカードの2件から始めるのがおすすめです。足りなければ、最大4件まで増やしてください。なお、無料プランで見られるのは過去1年分のデータまでです。

有料のスタンダードコースは、支払い方法によって金額が変わります(2026年8月時点、税込)。Webサイトからクレジットカードで申し込むと月540円、アプリ内のApp StoreやGoogle Play経由だと月590円です。中身は同じなので、申し込むならWebサイトからがおすすめです。料金は改定されることがあるので、申し込む前に公式サイトで最新の情報をご確認ください。

変動費は月ごとのブレが大きいので、3か月分の平均を取ると実態に近くなります。

口座を連携するのが不安な方へ

「銀行のパスワードをアプリに教えて大丈夫なの?」という不安は、当然だと思います。知っておいていただきたいのは、家計簿アプリの連携は明細を読み取るだけで、そこから振込や出金はできない仕組みになっている、ということです。

そのうえで、自分でできる対策もあります。アプリに設定するパスワードは他のサービスと使い回さないこと、そして二段階認証を設定しておくこと。この2つをやっておけば、リスクはかなり下げられます。

それでも抵抗がある方は、次の方法で構いません。

年間の手取り収入 −(1年間で貯金が増えた額 + この1年で投資に回した額)= 1年間の出費合計

たとえば年間の手取りが480万円、1年で貯金が60万円増えたなら、480 − 60 = 420万円が1年間の出費合計。12で割ると、月およそ35万円です。積立投資をしている方は、その分を足すのを忘れないでください。忘れると、実際より支出が多く見えてしまいます。

なお、この方法で出した35万円には、次に説明する特別費も含まれています。手順②で使った「毎月の出費25万円」(固定費+変動費)とは中身が違うので、呼び分けておきます。この記事では、**特別費まで含んだほうを「毎月の出費合計」**と呼びます。

手順⑤ 特別費を月割りで加算する(週末に)

毎月ではないけれど、必ずやってくる出費があります。これが特別費です。

  • 車検、自動車税
  • 帰省や旅行の費用
  • 家電の買い替え
  • 冠婚葬祭
  • 年払いの保険料
  • 子どもの入園・入学関連

これらを年間でいくらかかるか見積もって、12で割った金額を毎月の出費に足してください。年間36万円なら、月3万円です。

ここを飛ばすと、「毎月きちんと収まっているはずなのに、なぜか年間では貯まっていない」という状態になります。多くの家計でつまずくのが、実はこの部分です。

あなたの家計を診断してみましょう

材料が揃ったので、いよいよ診断です。まず貯蓄率を計算します。

(手取り − 毎月の出費合計)÷ 手取り × 100 = 貯蓄率(%)

手取り35万円、出費合計31万円の家庭なら、(35 − 31)÷ 35 × 100 = 約11% です。

手順④や⑤をまだやっていない方は、こちらの簡易版でも構いません。

1年間で貯金が増えた額 ÷ 年間の手取り × 100

60万円 ÷ 480万円 × 100 = 12.5% となります。

次に、今ある貯金が毎月の出費合計の何か月分にあたるかを計算します。貯金100万円で出費合計が月35万円なら、約2.9か月分です。

この2つの数字を、下の表に当てはめてください。

タイプ貯蓄率今ある貯金は出費の何か月分か
A赤字 〜 5%未満1か月分未満
B5%以上 15%未満1〜3か月分
C15%以上3〜6か月分以上

2つの数字が違うタイプにまたがった場合は、低いほう(守りが弱いほう)のタイプとみなしてください。たとえば貯蓄率は18%あるけれど貯金は1か月分しかない、という場合はタイプAです。貯蓄率が高くても、手元にお金がなければ、突然の出来事には対応できないからです。

タイプ別・次にやること

タイプA:まず赤字を止める 今は貯めるより、出ていく穴をふさぐのが先です。無理に貯金しようとして、足りない分をカードで埋めると、かえって家計は悪化します。次回お伝えする固定費の見直しが、そのまま処方箋になります。

タイプB:生活防衛資金を3〜6か月分まで 一番人数の多いゾーンだと思います。方向性は合っているので、あとは厚みをつけていく段階です。固定費を削って、その分を貯金に回すのが最短ルートです。

タイプC:新NISAを検討する段階 土台はできています。ここから先は、増やす仕組みを考えてよい段階です。

新NISAというのは、投資で出た利益に税金がかからない、国の制度を使った投資の枠のことです。通常は利益に約20%の税金がかかるので、この差はかなり大きくなります。ただし投資である以上、増えることも減ることもあります。タイプA・Bの方は、まず土台を固めてからで大丈夫です。土台のない場所に柱を立てても、家は安定しません。

具体的な進め方は、このあとの記事で順番にお伝えしていきます。

よくある疑問

Q. 夫婦で財布が別なのですが それぞれが自分の分で診断してみてください。そのうえで、手取りの合計、貯金の合計、固定費の合計を出せば、家全体の間取り図になります。相手の金額を1円単位で把握する必要はありませんが、「うちの土台は何か月分あるのか」だけは共有しておくことをおすすめします。

Q. どれくらいの頻度でやればいい? 毎月やる必要はありません。年に1回で十分です。あとは、昇給や転職、出産、住み替えなど、家の形が変わったタイミングで見直してください。

Q. 数字を見るのが怖いです その気持ちは、よく分かります。ただ、シロアリに食われた柱は、見ないうちは直せません。そして、たいていの場合、想像していたよりは悪くないものです。

まとめ

今日やることは、この3つでした。

  1. 手取り額を確認する
  2. 今ある貯金額を確認する
  3. 固定費をチェックリストに書き出す

自分の家がどんな形をしているか分かれば、次にどこを直せばいいかも見えてきます。

次回の記事の記事は、その中でも一番効果が大きい固定費の見直しです。毎月静かに家計を食い荒らす「シロアリ」を、まとめて退治していきます。

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